- 原題
- NOAH'S ARK
- 作曲
- Bert Appermont
- 演奏時間
- 10'00"~11'00"
- グレード
- 易 A - B - C - D - E 難(うらかぜ基準)
- 音源
- 東京佼成ウインドオーケストラ「パリのスケッチ」(佼成出版社)
- 楽譜出版社
- Beriato Music
日本でも人気の高いアッペルモント氏がレメンス音楽院の卒業課題として書いた曲がこの「ノアの箱舟」。とても大学生が書いた曲とは思えないスケールの大きさと旋律の美しさが、アッペルモント氏の実力を如実に示している一曲ではないだろうか。
基本的にattacca(楽章間に間を入れずに次の楽章へ行く)で構成されているが、四楽章構成のこの曲は、一貫してタイトルにもなっている旧約聖書の出来事「ノアの箱舟」の話を再現している。
一楽章:The Message
トランペットの奏でる平和の象徴(C(完全四度)F(完全五度)C)から、神からの不吉なお告げを受けて動物たちを集めるまでの一連の旋律が、ノアが置かれている状況と心境を如実に示し、これから起こるであろう災厄に対する不安を表している。なおこのトランペットの旋律はこの楽曲全体を通して、ノアの心情と平和の象徴として用いられている。
二楽章:Parade of the Animals
神のお告げを受けて、ノアはさまざまな動物たちを集め始める。ウサギや狐などの小動物からアリクイ・マントヒヒなどの異国の動物、象やキリンなど大型動物まで、ノアに呼びかけられて箱舟に集まる。ワイヤワイヤの大騒ぎの中、ノアの号令に従って一同が箱舟に乗り、海へと出向する。 本来ノアの箱舟のお話は箱舟にのって大雨に備える、というものだが、59小節目のAndanteの情景があまりにも海の情景っぽいので、今回はこう解釈した。
三楽章:The Stome
やがて空には黒い雲かが立ち込め、あたりは徐々に不吉な雰囲気が漂い始める。トロンボーンで奏でられるノアの箱舟、トランペットで奏でられる箱舟の中の様子は、木管楽器やパーカッションで示される嵐の情景に呑まれていく。時折聞こえるノアの叫びも大嵐によってかき消され、風と波にもまれながら必死になって舵を取り続ける。何度も押し寄せる暴風雨と高い大波は、クライマックスに向けてすべてを洗い流してしまう。
四楽章:Song of Hope
すべてをなぎ払った嵐も収まり、カオスと化した箱舟の中でノアが目覚める。そこにはウソのように穏やかな海と空が広がっていた。はるか遠くで芽吹き始める大地と緑、それを暗示するかのようなユーフォニウム二本のアンサンブル(大地の歌)とトランペットのファンファーレ、木管楽器のパッセージ(芽吹き始めた緑)が、ノアへ平和の到来を告げる。平和を喜ぶノアと動物たち。やがて陸が見え大地はノアたちを祝福する。一楽章のトランペットの旋律を用いてノアは神に平和を誓い、物語は静かに幕を閉じる。
この曲は中学校で一回やったっきりの二回目です。中学のときは演奏会の一曲としてやったんですが、そこまで深入りはできませんでした。改めてうらかぜでやることになりスコアを読み直したんですが、テーマとモチーフがはっきりしていてとてもわかりやすく、スコアリーディングの入門曲みたいにあげても面白い気がいます。僕は初めてスコアを読んでて(音を聞いているわけでもないのに)鳥肌が立って泣きそうになりました。
きちんと編成が整っているバンドだったら技術的に難しいことはありませんが、一人ひとりがそれなりに吹けるレベルでないと表現しきれない気がします。譜面はそれほど難しくはないけれど、楽団としてそろえないとなにをやってるのかさっぱりわからない一曲となってしまい、ただ派手な曲だけで記憶に残るような演奏にはなりません。じっくりと取り組んでできるような環境での演奏をお勧めします。
また、パーカッションを多く使います。フル編成で鳴らすのは6人以上の人員とさまざまな小物が必要です。
(乙幡)